研究課題
特定領域研究
我々がすでに開発しているCu(I)-Xantphos触媒によるアリルホウ素生成反応は、アリルアルコール誘導体を位置および立体選択的にアリルホウ素化合物に直接変換できる唯一の反応である。光学活性配位子を適用してこの反応を不斉触媒化することを検討し、Z配置のアリル炭酸エステルの反応に、不斉配位子として1,2-ビス(ホスフィノ)アレーン骨格を有し、リン原子がジアルキル-モノアリールホスフィン型のものを適用することにより高いエナンチオ選択性が発現することを見出した。不斉配位子としてQuinoxP^*を用いることにより、96%eeという実用的レベルの高選択性を達成できた。シクロプロパン骨格は天然有機化合物にしばしば見られる構造であるとともに、液晶のコアとしても利用されている。ボリルシクロプロパンはこれらシクロプロパン骨格を持つ化合物を合成するためのビルディングブロックとして有用である。シクロプロパン化合物の多くは環内に不斉点を有するため、光学活性ボリルシクロプロパンは特に重要である。既存の光学活性ボリルシクロプロパン合成法のほとんどは不斉補助基を量論的に用いるものであり、触媒的不斉合成は、置換シクロプロペンの不斉ヒドロホウ素化によるものが唯一の例である。Xantphos-銅(I)触媒によるアリルホウ素の合成法を研究する中で、脱離基γ位の置換基がシリル基の場合、Cu-Bのアルケンへの付加の位置選択性が逆転し、その結果としてtrans-1-シリル-2-ボリルシクロプロパンが生成することを見出した。アリル炭酸エステルのアルケン部位の立体配置が、反応性、付加の位置選択性、立体選択性のいずれにも大きな影響を及ぼし、いずれもZ体の方が優れている。ホスフィン配位子としてXantphosの代わりにSEGPHOSやQuinoxP^*を用いると、反応速度が少し低下したが、高い光学純度のtrans-1-シリル-2-ボリルシクロプロパンが高収率で得られた。シクロプロパン上のシリル基とボリル基は、それぞれ段階的に立体選択的に変換可能である。これを利用する収束的な合成法は、光学活性シクロプロパン化合物の優れた合成手法になるものと期待できる。
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