研究課題/領域番号 |
18037019
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
碇屋 隆雄 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30107552)
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研究期間 (年度) |
2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / 水の有効利用 |
研究概要 |
酸塩基複合効果を基盤として発現する協奏機能を有するジアミン配位子をもつ16電子アミド(η^6-アレーン)ルテニウム錯体が、ブレンステッド塩基として機能することに着目して水との反応によるヒドロキソ(アミン)錯体の生成と、ヒドロキソ錯体の求核性を活用した触媒的水和反応への展開をめざして錯体化学的研究を行った。その結果、16電子アミドルテニウム錯体は、充分なブレンステッド塩基性を有することから容易に水分子と反応して水素-酸素結合の切断を伴って18電子アミン-ヒドロキソ錯体を与えることを見いだした。さらに合成単離した一連のヒドロキソ錯体は、塩基として作用し、酢酸や活性メチレン化合物と反応する一方、求核剤として、エステルと反応してエステルの加水分解生成物であるカルボキシレート錯体を与え、さらにアセトニトリルとの反応で対応する酸アミドを定量的に与えることを見いだした。 これらの知見をもとに、ニトリルの触媒的水和反応を検討した結果、3級アミン配位子を有するヒドロキソ錯体が、基質/触媒比50、70℃の条件下で、脂肪族および芳香族ニトリルの水和反応に対する触媒活性を示し対応する酸アミドを与えることを見いだした。アミン配位子の構造は触媒活性に大きく影響し、1級アミン配位子を有するヒドロキソ錯体はほとんど触媒活性を示さないものの、3級アミン錯体が中程度の触媒活性を示すことが分かった。1級アミンを有するアミダト錯体が水との反応によりヒドロキソ錯体に変換され難いのに対し、3級アミンを有するアミダト錯体は水と容易に反応してヒドロキシ錯体を再生できることが触媒活性発現の原動力と考えられる。 本結果は、ジアミン配位子をもつりη^6-アレーンルテニウム錯体が協奏機能触媒として機能し、還元反応・炭素-炭素結合生成反応と同様に水分子の活性化をともなう水和反応に展開できるとともに、炭素-酸素結合生成を鍵反応とする新たな不斉触媒反応開発の可能性を示すものであり興味深い。
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