研究課題/領域番号 |
18037054
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (40226345)
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研究期間 (年度) |
2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | イノラート / フラン / チオフェン / 連続反応 / β-ラクトン / 複素環 |
研究概要 |
フラン環は有機合成の原料や医薬品、機能性材料の基本ユニットとして重要な複素環状化合物であり、これまでに非常に多くの合成法が報告されているが、そのほとんどが1〜3置換フランの合成法であり、置換基が密集した4置換フランの合成研究はごく一部に過ぎず、それも置換基の汎用性や合成の効率性に関しては未だ発展途上である。イノラートはカルボニルと低温で反応させるとβラクトンエノラートを生成する。本研究ではこのβラクトンエノラートの求核性を利用した連続反応による多置換フラン及びチオフェンのワンポット合成について検討した。イノラートとα-アシルオキシケトンを反応させると、β-ラクトンエノラートの生成(付加-環化)に引き続き、環化反応が進行しβ-ラクトン縮合環が生成した。プロトン化後この縮合環のβ-ラクトンを酸触媒で脱炭酸させたところ脱水反応も同時に進行し、多置換フランが高収率で生成した。本反応は一つのフラスコの中で6工程が進行する連続反応であり、イノラートの極性転換型連続反応プロセスの特性を巧みに利用している。また、イノラートが立体障害の大きな基質に対しても容易に反応する特性を利用した合成反応であるとも評価できる。さらに、各置換基は様々に変換可能であることから、医薬品などの探索に威力を発揮する「多様性を指向した有機合成」という特徴も示している。 同様に、α-アシルチオケトンを原料とした多置換チオフェンの合成も検討した。イノラートとα-アシルチオケトンを-78度で反応させると予想通りβラクトン縮合環が収率良く生成した。この際、低温で速やかに反応停止を行わないと副生成物が生じ収率が低下した。この縮合環をパラトルエンスルフォン酸で処理することで高収率で多置換チオフェンが生成した。チオフェンは電子材料などで汎用される複素環であり有用性は高い。
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