研究概要 |
立体規則性ポリ(3-アルキルチオフェン)[HT-P3AT]、ポリ(2,5-ジオクチルフェニレンビニレン)[DOPPV]、ポリ(9,9-ジオクチルフルオレニルー2,7-ジイル)-co-(ビチオフェン)[F8T2]等の単独では単分子膜の形成が困難であった疎水性共役高分子と液晶分子4'-penty1-4-cyanoビフェニル(5CB)を水面にて共展開した。得られた水面膜およびマイカ基板上に転写した膜を、ブリュースター顕微鏡および原子間力顕微鏡により観察した結果、分子レベルにて平滑で均質なモルフォロジーが大面積にて観察された。これらの知見から、共展開した液晶分子のアシストにより、疎水性共役高分子の広がった単分子膜が得られることが明らかとなった。 この疎水性高分子単分子膜とスピンコート法によって調製した超薄膜を吸収スペクトルにより構造解析およびその比較を行ったところ、単分子膜および超薄膜は、そのバルク膜とは大きく異なったコンフォメーションを示すことがわかった。さらに、単分子膜のコンフォメーションは、疎水性共役高分子に依存し、各共役高分子の界面近傍の構造を反映した良いモデルとなることを明らかにした。 HT-P3ATであるポリ(3-ドデシルチオフェン)単分子膜については多層積層膜の調製を行い、斜入射X線回折測定の結果から、電界効果トランジスタ等に有用な構造である理想的なlayer-by-layer構造が構築できることを見いだした。現在、P3ATやF8T2を用い、単分子膜を任意に交互積層するなど界面超階層構造に向けての検討を進めている。
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