研究課題/領域番号 |
18043003
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
引原 俊哉 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00373358)
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研究分担者 |
山本 昌司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90252551)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 物性理論 / 磁性 / 量子スピン系 / フラストレーション / リング交換相互作用 / カイラリティ秩序 / 新奇量子相 / 密度行列繰り込み群法 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、リング交換・フラストレーションをもつ磁場中量子スピン系における、新奇量子相の探求を行った。まず、リング交換を含んだ磁場中二本鎖梯子ハイゼンベルグ量子スピン系の解析を行い、この系の磁気相図を決定した。その結果、この系では、2つのマグノンが作るマグノン束縛対がBose凝縮したスピンネマティック状態や、ベクトルカイラリティが支配的な朝永・ラッティンジャー流体などの新奇量子相が実現されることを発見し、それら新奇量子相の出現条件と、その特性を明らかにした。 また、リング交換を含んだジグザグ梯子ハイゼンベルグ量子スピン系に関する研究を行い、これまでに知られていなかった部分強磁性相や新奇非磁性相を含んだ、基底状態相図を決定した。さらに、実在の量子細線の電子密度や閉じ込めポテンシャル強度と、スピンモデルの相互作用パラメータを関連付けることで、今回発見した新奇量子相が、実際の量子細線において実現可能と期待されるパラメータ領域に存在することを示した。 さらに、最近接強磁性相互作用と次近接反強磁性相互作用が競合した、磁場中ジグザグ梯子ハイゼンベルグ量子スピン系の研究も行い、この系の磁気相図を決定した。その結果、この系では、低磁場領域でベクトルカイラリティ長距離秩序を伴うベクトルカイラリティ相が、また、高磁場領域で複数のマグノンが束縛状態を形成するマグノン束縛相が実現されることを明らかにした。この結果は、LiCuVO_4など、実在の擬一次元磁性体の性質を理解する上で重要な結果である。 また、ダイヤモンド型量子スピン鎖におけるリング交換相互作用の効果についても調べ、リング交換相互作用による新奇な非磁性状態の出現を予言する結果を得た。
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