研究課題/領域番号 |
18043008
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60245371)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2007年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2006年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 低温物性 / 表面・界面物性 / 半導体物性 / 量子閉じ込め |
研究概要 |
InAs壁開表面に鉄を蒸着して表面反転層を誘起したハイブリッド系において、特定の被覆率領域で磁気抵抗曲線の明瞭なヒステリシスを観測した。1原子層以下の鉄薄膜の磁気的状態を2次元電子系の電気伝導を通じて観測した初めての研究成果である。ヒシテリシスは10K程度の温度で消失するが、これより低い温度領域で、温度変化や磁場変化の履歴による抵抗変化やその長時間緩和過程を詳細に調べたところ、鉄薄膜がスピングラス状態を形成していることを示唆する実験結果が得られた。 InAs壁開表面にアルカリ金属を蒸着した場合について、表面原子密度と2次元電子密度との関係を詳細に調べた。表面原子密度はイオンソースの積算電流から求め、2次元電子密度はホール係数から求めた。低原子密度領域においては、2次元電子密度は表面原子密度と比例して増加し、銀の場合の実験結果に対して我々が提唱したモデルとコンシステントな結果を得た。この増加は2次元電子のフェルミエネルギーが表面ドナー準位に達すると飽和する。飽和電子濃度から表面ドナー準位を導出するため、自己無撞着な計算手法を開発した。表面ドナー準位と原子のイオン化エネルギーとの関係は、これまで光電子分光から示唆されていた傾向と矛盾しないが、今回の実験結果の方が表面ドナー準位は高い。光電子分光の先行研究においては、金属蒸着は室温において行われたため、クラスター形成等の問題が生じたためだと思われる。我々の手法の方が、高精度に表面ドナー準位を求めることができるので、今後、様々な物質に対して研究を拡張する必要がある。
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