研究課題/領域番号 |
18045019
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長澤 裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50294161)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2007年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | イオン液体 / 溶媒和 / 電子移動 / 電荷分離 |
研究概要 |
溶媒中の電子移動(ET)反応において、溶媒和は律速過程になりうる重要な過程である。通常の極性溶媒の溶媒和ダイナミクスとは異なり、イオン液体の場合はイオンの並進拡散や溶媒構造の不均一性が重要になると考えられるが、その効果がどのように影響するかは解明されていない。そこで本研究の目的は、イオン液体中の溶媒和ダイナミクスのET反応への影響を明らかにすることにある。そこで、光励起により、分子内電荷分離(CT)反応を示す9,9_'ビアントリル(BA)を溶質としてイオン液体中に溶かし、実験を行なった。BAはアントラセンを中心で結合させた対称的な構造の分子で、無極性溶媒中ではCT反応は示さない。極性溶媒分子の存在により対称性が崩れ、はじめてCTを起こす。その速度定数は溶媒和ダイナミクスに強く依存する。イミダゾリウム系イオン液体中のBAの蛍光は、アセトニトリル溶液の場合と同程度の長波長シフトを示すことより、イオン液体中でも電荷分離が起こらていることがわかった。そこで、690nmにおけるBAのCT状態の過渡吸収スペクトルのピコ秒時間変化を測定した。また、BAの時間分解蛍光スペクトルの測定も行なって、両者を比較した。その結果、CT状態の生成は数百ピコ秒程度で終わるのに対し、CT状態からの蛍光はその後も数ナノ秒程度のオーダーで長波長シフトしていくことがわかった。これはCT状態でのエネルギー緩和過程を観測していると考えられる。蛍光の長波長シフトのタイムスケールがイオン液体の粘度に依存するので、CT状態における溶媒和ダイナミクスを観測している可能性がある。
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