研究課題/領域番号 |
18047024
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 諏訪東京理科大学 |
研究代表者 |
市川 純章 諏訪東京理科大学, システム工学部, 准教授 (30307714)
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研究分担者 |
原 文雄 東京理科大学, 工学部, 教授 (90084376)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
2007年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2006年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 体性感覚 / 皮膚感覚 / 物体識別 / 触覚 / ロボット / 形状識別 / 身体 / 知覚 / 人工皮膚 / 皮膚センサー / 触覚情報 |
研究概要 |
体性感覚情報として人の指の触感に着目した。皮膚の機能と情報処理に生物的制約として、皮膚感覚器から中枢神経へ伝わる神経活動を模し、指の局所的な接触状態の空間的広がりの時間変化を特異なパターンとして感知し、その出現頻度が中枢神経に伝わると仮定した。その出現頻度に統計処理を施し物体の識別を試み、体性感覚を形成する情報としての可能性を評価した。この頻度情報には皮膚表面との接触力の大きさと絶対位置に関する情報が欠落しているが、指の物体を把握運動における感覚の能動性と、指の断面形状の特性がこの欠落を補っているという仮説を立て、形状に関して平板形状と半円形状の指ロボットを製作し、比較実験を実施した。多角柱の識別と円柱の軟らかさの識別について検証した結果、全体として90%程度の高い識別率となったが、指の断面形状に関する識別能力の差は数%程度であり、大きな差は現れない結果を得た。この結果から、接触状態の局所的な空間的時間的発展パターンの頻度情報は識別能力に大きく貢献しており、身体の運動による能動的な触覚情報は、極めて有益な体性感覚情報を形成しうるといえる。 ロボット指による実験を進めていく一方で、実際の人の指の感覚による物体把握動作時の識別特性を調査した。できるだけロボット指の実験と比較可能な実験で実施したところ、人の識別能力は、6種類の円直径の識別に関して60%程度、11種類の多角柱の識別に関して50%程度であった。この結果をロボット指による統計的手法と比較すると、3種類の特徴パターンを用いた場合の識別率に匹敵することがわかった。ロボット指の場合、特徴パターンの種類を増やすほど識別率は上昇するが、これは中枢神経における情報処理量の肥大化、複雑化に相当する。本結果は、生物的制約下での皮膚感覚処理における定量的な評価であり、生体の体性感覚処理における少ない情報からの合理的な処理方法の今後の指標となる。
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