研究課題/領域番号 |
18047029
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤井 直敬 理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, 副チームリーダー (20392095)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2007年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2006年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 社会脳 / 適応行動 / 頭頂葉 / 前頭前野 / 社会的脳機能 / 多次元生体情報記録 / モーションキャプチャ / 意思推定 |
研究概要 |
本研究計画は、複数日本サルの社会的適応行動を通じて、それぞれの個体の持つ社会内部での環境や社会的地位に応じた社会的行動選択の様式を明らかにし、さらにその社会的行動選択の元となる、脳神経細胞機構を明らかにすることを目標としている。本年度は、前年度に続いて神経細胞活動の記録を通じて、ニホンザルの社会的脳機能解明への実験を行った。まず、2頭のサルをテーブルの周辺に座らせ、テーブルの上に置かれた餌を自由に食べるという、餌とり課題を行わせた。すると、それぞれのサルは、他のサルと競合しない時は自由に餌を食べることが出来たが、2者の間に競合が起きると、明らかな社会的上下関係が観察され、下位のサルは競合空間で餌に手を伸ばすことが出来なくなった。この際、頭頂葉と前頭前野から神経細胞を記録すると、それぞれの領域で、課題遂行中の適応的行動選択様式の変化と平行した形で、神経細胞活動の再組織化が起きることが観察された。しかしながら、頭頂葉は運動関連ニューロンに、前頭前野は定常発火をするタイプのニューロンに適応活動が観察された。すなわち、これらの異なる脳領域が社会環境の変化に対応して個別に認知機能を変化させることによって、行動選択の環境依存的最適化が脳内で生じ、それをもとにして適応的行動が実現されるということが示唆された。 これらの知見は、今まで科学的に記述することが難しかった社会的脳機能という高次認知機能を神経細胞活動レベルで観察・記述した初めての結果である。
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