研究概要 |
平成19年度は,昨年度開発したエクソサイトソーム改良と大リポソーム内のCaイオン濃度上昇による内包小リポソーム膜と大リポソーム膜との膜融合誘導を試みた。 (1)エクソサイトソーム(小リポソーム内包大リポソーム)の改良 Yamazakiらの方法により小リポソーム含有のGiant liposomeを作成した。作成条件を検討することによって,1ステップで小リボソーム含有のGiant liposomeが多数生成する条件を見出した。一方,Giant liposome作成時に別途調製した小リポソームをまぜる2ステップ法では,内包小胞をエクストルーダによってサイズをそろえることによって,粒径の均一な小胞含有Giant liposomeを作成できた。 (2)Caイオノフォアによる刺激応答 Giant liposomeのCa濃度を上昇させるために,Giant liposomeにCaイオノフォアであるイオノマイシンを導入した。Giant liposome内にCa感受性蛍光色素であるOregon green BAPTAを導入した。外液のCaイオン濃度を上げることによって,リポソーム内にCaイオンを導入した。実際,Ca感受性蛍光色素の蛍光強度変化が観測された。しかし,多くの場合Ca濃度上昇後のGiant liposomeの安定性が著しく低下した。次に,Giant liposome内のCaイオン濃度上昇により内包小リポソームと大リポソームの膜融合を誘導するために,負電荷をもつリン脂質ホスファチジルセリンを含有した脂質組成でエクソサイトソームを調製した。イオノフォアと外液Ca濃度の上昇による刺激により,一部のエクソサイトソームで,内包小リポソームと大リポソームの融合による内包リポソームの消失に伴う蛍光強度の現象が観測された。
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