研究概要 |
本研究の目的は,人間や環境との柔らかなインタラクション行動を筋骨格ヒューマノイドの特長を生かした形で実現を図り,段階を追って行動様式を成長させていくことである.今年度は,上半身全体を用いたクランク回し行動を取り上げ,筋骨格ヒューマノイド小太郎による実現を目指し,研究を執り行った.まずは,筋骨格ヒューマノイドにおいてクランク回し行動を実現する上で対象との関わり方の観点から,人間の直接教示による概略視姿勢の作成(対象を意識せず),関節角・筋長変化の近似モデルの利用(対象モデルの目標軌道に沿って動作生成),自ら探索的に身体を動かす形での運動拘束の探索(対象への働きかけを評価して行動を修正)という3種類の実装法を示した.特に3番目の自ら探索的にクランクを動かす解を探る行動生成では,対象であるクランクの動かし方に関し試行錯誤を行いつつ,実際に行った結果を評価し,強化学習の1つであるR学習を用いて学習する手法をとった.行動結果を実際に評価することにより,自己身体による評価によって運動拘束を探索する学習系を構築している.また,インタラクションとしてのクランク回し行動の筋骨格ヒューマノイドへの実装だけではなく,インタラクション行動中のログ情報に基づいた行動経験解析手法についても検討を行った.ここでは,行動中に必要とされる感覚運動情報として,センサやアクチュエータ相互の関係性の時系列的な変化に焦点を当てた.そして,池谷らが提案した,高速学習可能な時間文脈を形成するニューラルネットを利用して行動ログを解析するシステムを構築し,クランク回し行動の脊椎駆動ワイヤにおけるワイヤ同士の時系列的な相関に関して実機からのデータを用いて検証を行った.
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