研究概要 |
本年度は,(1)データグリッドのための協調型資源割付け方式,及び,(2)ポリシーベースの協調方式に取り組んだ.(1)については,動的割付けとモニタリングの協調機能を有するデータグリッドの構成法を提案し,重複割付けを許す動的コアロケーション(DCDA)アルゴリズムを考案した.さらに,Globusツールキットを用いた実験システム及びシミュレータを開発し,従来のコアロケーション方式との比較評価実験を行った.その結果、考案アルゴリズムは,ネットワーク帯域が変動する場合に従来方式よりも高速転送が可能であることが判明した.これらの成果を学術雑誌論文1編及び国際会議論文1編にまとめた.データグリッドでは,資源割付け,データ複製,セキュリティ管理など多数の機能モジュールが係わるため,これらの多数の機能モジュールを協調させる仕組みが必要になる.このため,(2)において,これらの機能モジュールの異種性を考慮し,さらに柔軟性の高い協調機構を実現する.具体的には,各機能モジュールの動作規範をポリシーとして記述して,ポリシーに基づき協調動作を決定し,その妥当性を検証する機構を開発する.この研究では,本年度は,協調モデルの構築,及び,ポリシー制御方式の設計と評価に取り組んだ.具体的には,自律分散システムにおけるモジュールを協調させる仕組みとして,ポリシーベースの協調モデルを構築した.また,ネットワークモニタリングの結果を用いて,MANET経路制御ポリシー,及び,パケットキャプチャのフィルタリングポリシーを適応的に制御する方式を開発し,各方式の有効性を示した.さらに,分散配置されたファイアウォールに対する複数のフィルタリングポリシーの解析手法を考案し,この手法がポリシー変更により生じる副作用の検出に有効であることを示した.これらの成果を学術雑誌論文1編,国際会議論文2編,その他論文1編にまとめた.
|