研究概要 |
現状の情報検索システムでは,キーワードにマッチする数多くの候補がディスプレイに表示されて,ユーザがそれらを1つずつチェックするというインタフェースとなっている.これに対して,音声対話により(インタラクティブに)ユーザに適した情報を検索あるいは効率的に提示する方法論を研究した. 具体的には,大規模な文書情報(本研究ではWikipediaを使用)に対して,音声対話により情報検索を行うシステムを設計した.本システムでは,ユーザ・システム双方が対話の主導権をとりながら,インタラクティブに情報検索・提示する枠組みを考えた.そのために,ユーザ主導の検索・質問応答(pull)モードと,システム主導の提示(push)モードを用意して,ユーザの状態に応じてこれらを切り替える.検索・質問応答モードでは,漠然とした検索要求に対して文書を要約して提示したり,特定の情報・事実を求める質問に応答する機能を実装した.また,提示モードにおいては,システム側からユーザにとって有用な話題を動的に選択して,質問形式を用いて提示する方法を考えた. 提案する枠組みを京都の観光案内システムとして実装し,京都大学博物館の企画展示において試験運用を行った.3ヶ月の運用期間中,のべ2500人のユーザの利用があり,25000発話を収集できた.収集された対話を分析・評価した結果,提案手法(質問応答・情報推薦)がおおむね有効に機能していることを確認した.
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