研究概要 |
無線LANなどの無線通信技術の発展に伴い,既存のバックボーンを介さず臨時に敷設した中継端末や携帯移動端末同士で通信を行うモバイルワイヤレスネットワークの研究が進められている.このようなワイヤレス通信に基づくネットワークでは,人や車などの移動端末のモビリティがネットワークの性能に大きな影響を与えることが知られている. 本研究では,都市空間での人や車のモビリティを評価・検討し,その結果に基づき都市空間を移動する人や車の行動モデル(モビリティモデル)を構築すると共に,単位時刻毎に指定された人や車の位置・移動方向・速度等を計算するプログラムを自動導出するコンパイラを作成し,既存のモバイルアドホックネットワークシミュレータと連動させることで,人や車のモビリティに基づくワイヤレス通信の性能評価を効率よく行えるようにした. また,車車間アドホック通信を用いて先行道路情報を効率よく高信頼で伝搬させるための方式や,危険車両の走行履歴を周辺車両で共同でモニタする方式,地震などで既存のネットワークインフラが遮断された際に被災者間で自律的に効率よく緊急情報を蓄積・交換するための方式,などを考案するとともに,作成したネットワークシミュレータを用いて,提案方式の性能やモビリティによる影響などを詳細に評価・検討した. これらアドホック通信に基づく情報共有方式の研究成果については,IEEE Transactions on ITS誌やInternational Journal of Ad Hoc and Ubiquitous Computing誌,国内論文誌,ならびに,幾つかの国際会議で発表した.
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