研究概要 |
本研究では,クラスリンアダプタータンパク質であるGGA1,2,3の個別機能,およびGGAのユビキチン結合の意義を解析する。 1.GGA2を安定にノックダウンする細胞を作製し論文受理された(Hida etal.,in press)。本解析では,GGA2の発現を低下させてもGGA1,3の発現や局在様式に明らかな変化は認められなかった。このことにより,GGA1,2,3は別個に機能する可能性が示唆された。一方,カーゴタンパク質であるマンノース6リン酸受容体の細胞質部分にGFPを付加したキメラタンパク質(GFP-CIMPR-tail)を安定に発現するHeLa細胞を用いて,GGA1,2,3をノックダウンする実験を行った。通常のHeLa細胞とは異なり,同細胞では個々のGGA発現低下により,GFP-CIMPR-tailが局在するトランスゴルジネットワーク(TGN)の形態変化や細胞表面への局在変化を形態学的に検出できた。しかもこれら変化は,発現抑制したGGAにより異なっていた。以上よりGGAの機能異常をより鋭敏に検出できる実験系を確立できたとともに,3つのGGAには別個の機能が存在することを示唆する。 2.GGA3のユビキチン結合能の意義を探るため,ユビキチン結合部位に変異を有するGGA3を作製した。VHS-GAT領域のみを発現して比較したところ,ユビキチン結合変異体はTGNやエンドソームへの結合が減弱していた。このことは膜への結合に際してユビキチン結合能が何らかの機能を担うことを示唆する。現在,同変異体を用いてユビキチン結合に依存した相互作用分子の探索を行っている。
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