研究概要 |
私達は平成19年度に,巨大超分子構造解析の特徴に応じて,より完全なモデルを構築するアルゴリズムとプログラムを開発した. 巨大超分子構造解析の特徴は,結晶の質がよくない,回折能が低い(通常〜3Å)などである.一般的に得られる位相はかなり不正確であるために,電子密度図が不明瞭で,構造の構築は困難である.また,位相を改良するために電子密度図での溶媒平滑化や自己コピー分子間の平均化,部分構造を位相に加えるなどが行われる.そして,モデルの構築と電子密度図の改良を繰り返して,より完全なモデルを求めることができる.我々はこのような位相改良途中の異なるステップで得られたいくつか部分構造,通常,バラバラな主鎖の断片の集まりをマージ・拡張するアルゴリズムを開発し,主鎖の断片を最大程度に繋ぎ,より完全なモデルを得ることができた.我々が開発した方法では,グラフ理論、動的プログラミング法を用いて,いくつかの部分構造から最大な断片の集合を求め,さらに、電子密度図の極値点の求めることにより,分子の領域を決め,結晶学的な対称操作によりマージした集合を1分子に拡張する.現在に,いくつかのサンプルをテストしながら,実用化へ進めている. また,構造解析へ応用しながら,LAFIREの改良を進めた.特に,最近本特定領域の班員から1300万Daの分子量を持つ巨大分子のサンプルを預かり,巨大分子の精密化のストラテジーを構築しながら,〜3Å分解能での巨大分子の自動精密化にチャレンジした.
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