研究概要 |
1)Notch-Nrarp, LEF1-Nrarp複合体の活性を制御する因子の探索とその機能解析 Nrarpの結合蛋白質同定を行い、Mindbomb1(mib1), Mindbomb2(mib2), BAG2, Ankyrin repeat protein 17などを単離した。ユビキチンリガーゼであるMibとNotch, LEF1をNrarp存在下で共発現させ、NotchおよびLEF1蛋白質の変化を検討したところ、LEF1については、Mibの効果はみられなかったが、Notchについては、MibがNrarp存在下でのNotch蛋白質の減少を阻害した。このことはNrarpのNotch分解にはMibとは別の蛋白質分解酵素が働いており、その活性をMibが阻害することを示唆している。また、NrarpがMibによってユビキチン化されることから、Nrarpのユビキチン化はNotchの分解には負に働くことが示唆された。 2)Notch標的遺伝子の個体レベルでの探索 未知のNotch標的遺伝子群を探索するため、ゼブラフィッシュを用いてNotch機能阻害胚で変化する遺伝子をマイクロアレイ解析した。その結果、Notchシグナルの阻害により発現量が減少した転写産物としてnort (Notch regulated transcript)を単離した。nortはhypoblast細胞や、神経組織で発現し、HESファミリーの一つであるher4と発現部位が類似していた。全長のnortは約1.3kbで3'末端にポリ(A)を持つが、長いORF(>300nt)がなく、アミノ酸配列レベルで相同性のある既知蛋白質は見出せなかった。以上のことからnortはNotchシグナルによって制御されるnoncodingRNAの可能性が示唆された。
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