研究課題/領域番号 |
18057023
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
齊藤 修 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60241262)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2007年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | G蛋白質 / 受容体 / RGS / 小脳 / 足場蛋白質 / プルキンエ細胞 |
研究概要 |
三量体G蛋白質のGサイクルをチューニングするRGSの中で、特に我々が独自に同定したRGS8に注目して、G蛋白質以外の相互作用因子を探索し、生体内での機能発現機構、その調節機構、さらに特異性決定機構の分子基盤の解明を進めた。Two hybridスクリーニングによる探索の結果、明らかな3種の核蛋白質を含む12種のRGS8結合蛋白質を発見した。 1.RGS8がそのN端配列のMPRRを介してprotein phosphatase1結合蛋白として同定されていた足場蛋白spinophilin (SPL)に結合すること、この相互作用により同一部位に結合していたM1ムスカリン受容体がRGS8からはずれること、しかしM1受容体・SPL・RGS8の新しい複合体が形成されることを発見した。しかも、電気生理解析の結果このSPLを含む複合体の方が高効率でG蛋白質シグナルを調節できることを見出した。さらに、受容体の細胞表面分布も複合体形成の結果、大きく変化する事が判明した。SPLは、RGS2及び16にも結合した。これまで報告されていたRGSの受容体の直接および間接認識の関係が初めて明らかになった。 2.RGS8が微小管モーターKiflaに結合することが判明した。さらにRGS8上の結合部位は、受容体/SPL結合部以外である事が判明し、RGS8を介して特定の受容体が微小管モーター上を輸送されるというシステムの存在が考えられた。Kiflaは、RGS2にも結合した。 3.RGS8が低分子G蛋白質活性化因子RGL3に結合することが判明した。RGS8上の結合部位は、N端1-5残基MAALLで、RGL3のRal活性化ドメインに結合することが判明した。 4.組み換え蛋白質を調製して陽性クローンを詳しく解析した結果、RGS8が、さらに次の9種の蛋白質に結合性を持つ事が判明した。それらは、微小管モーターKiflb結合蛋白質(KBP)、poly (rC)結合蛋白質(polyC)、WWドメイン結合蛋白質7(WWBP7)、細胞骨格蛋白Septinll (Septll)、 Zinc Finger蛋白質1(ZF)、 Melanoma Antigen Family D1(MAGED1)、シナプス小胞蛋白RIM1、RNA合成酵素C端部脱リン酸化酵素サブユニット1、nuclear receptor coactivator6である。このうちRGS2にも結合するのは、KBP、polyC、WWBP7、MAGED1であった。また、KBP、Septll、ZWのRGS8上の結合部位は、RGL3結合部位と同じN端1-5残基であった。一方、MAGED1結合部位は、SPL結合部位と同じN端6-9残基MPRRであった。 これらの蛋白質の相互作用ネットワークが働き、RGS8の作用調節、特異性決定、さらにシグナル系連結が行われていると考えられる。これ程大規模にRGS結合蛋白質群が判明して来たのは初めてで、内容の一部は米国EB2008シンポジウム「第3回RGS Colloquium」で発表した。
|