研究課題
特定領域研究
低分子量G蛋白質Rabはヒトにおいて60種類以上もの異なるアイソフォームが存在し、個々のRabはオルガネラ特異的あるいは細胞種特異的に膜輸送を制御すると考えられている。RabはGTPと結合している活性化型、GDPと結合している不活性化型の二つのフォームをとり、活性化型のGTP-Rabが特定の標的因子と結合することで膜輸送を促進する。適切なRabの不活性化はRabの正常な機能発現に不可欠と考えられており、Rabの不活性化酵素としてGAP(GTPase-activating protein)の存在が提唱されている。しかしながら、ヒトに数多く存在するRabのうち特定のGAPが同定されているものはほとんどなく、Rab不活性化の分子メカニズムは未だ謎に包まれている。そこで本研究では、Rabに特異的な不活性化酵素GAPを迅速にスクリーニングする手法の確立に取り組んだ。これまでの研究でメラノソーム輸送を司るRab27Aに着目し、Rab27Aエフェクタードメイン(Slac2-aのSHD領域)による活性化型GTP-Rab27Aの測定法を開発するとともに、メラノソーム輸送阻害活性を指標とてTBCドメインを有する二種類の蛋白質Rab27A-GAPα及びβを同定することに成功した。本年度はさらに、インスリン刺激依存的に細胞膜に輸送されるグルコース輸送体4の制御に関わるAS160という分子が、Rab10-GAPとして機能することを突き止めた(Cell Metab.(2007)5,293-303)。
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