研究概要 |
平成18年度までの解析により、ORCのパートナーとしてテロメア結合因子であるTRF2とRAP1、中心体、核膜蛋白と関連が示唆されているSadl、機能未知のWD40モチーフを持つ蛋白質(ORCBP1)が質量分析によるプロテオミクスで明らかとなった。ORCBP1は、タグを付加した蛋白質の解析から、ORCBP1はORC複合体と強固に結合すること、RNAiによる機能阻害を行ったところ、G1期が通常細胞の1.5倍ほどに増長することを明らかにした。 平成19年度はこれらのことを踏まえて、ORCBP1について解析を行い、以下の結果を得た。 1)ORCBP1特異的なポリクローナル、モノクローナル抗体の作製を試みた。残念ながら核抽出液から特異的に検出する抗体は得られていないが、免疫沈降産物した後のORCBPIに対して特異的に検出できるポリクローナル抗体を得た。 2)Flag=ORCBP1の免疫沈降産物をゲル濾過で解析したところ、ORCとともに同じ分子量をもつ複合体中に取り込まれていることが明らかとなった。 3)Flag-ORCBP1安定発現株の核抽出液から免疫沈降を行い、質量分析により相互作用因子の探索を行った。ORCの全てのサブユニット(ORC1,-2,-3,-4,-5)が結合していること、また、ORC1よりもむしろORC2-5複合体と強く相互作用していることがわかった。さらに、2種類のHECT型のユビキチンE3リガーゼが結合することが示唆された。そのうちの一つは、UV照射依存的なCDC6の分解に必要なHUWE1であった。ORCBP1はWD40モチーフの他に、leucine rich repeatを有することから、HECT型ユビキチンリガーゼと複合体を形成することにより、複製開始活性を制御していることが示唆された。
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