研究課題
特定領域研究
DNA複製フォークの通過後、複製DNAは速やかにヌクレオソームに変換され、元と同等のエピジェネティク情報を持つクロマチンが構築されるが、このことは、正確なゲノム機能を維持するうえで必要不可欠な反応である。核内でのヌクレオソーム形成反応は様々な因子により制御されるが、この反応の生理機能に関しては不明な点が多い。2007年度の本研究では、ヌクレオソーム形成に関与すると考えられるヒストンシャペロンCAF-1,ASF1及びS期に新合成されるヒストン(de novoヒストン)を特異的にアセチル化する酵素HAT1の各欠損変異株を用いて、ヒストンシャペロンの機能及び役割を解析するとともに、永らく不明であったde novoヒストンのアセチル化の生物学的意義の解析することにより、DNA複製、DNA修復、及びヘテロクロマチン形成機構における、これら因子群の役割を分子レベルで明らかにすることにおいて一定の成果を修めた。1、CAF-1及び欠損はS期の遅延、DNA合成能の低下、新規DNA合成鎖上へのすばやいヌクレオソーム形成能の低下を伴い、致死であるがことを明らかにした。変異CAF-1p150発現株の解析から、新規DNA合成鎖上への素早いヌクレオソーム形成能の低下が複製鎖の伸長を阻害すると考えられ、これがCAF-1のPCNA結合能に依存性であることから、CAF-1がPCNAを介したDNA複製伸長装置と密接に関連していることが示唆された。2、HAT1-/-細胞株ではDNA複製能及び複製鎖上のヌクレオソーム形成反応には異常が認められないが、DNA複製ストレスに対する感受性を示すことを以前報告していた。本年度はde novoヒストンを含むと考えられる細胞質画分のH3-H4を含む複合体構成性成分の解析を行い、Hat1もしくはH4のLys-5,12のアセチル化が安定したH3-H4複合体形成に寄与し、細胞質H3-H4複合体の一部はH3-H4との結合を介したHat1とAsf1を含む複合体であることが示唆された。
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