研究概要 |
核小胞体標本を作製しそれにパッチクランプ電流測定法および膜容量測定法を適用することで、1)出芽過程を経時的に記録し、解析に附することができるような方法論を確立すること、2)小胞出芽の開始シグナルを細胞特異的な機能的側面から同定すること、3)出芽小胞の形態維持に関するイオンチャネルの役割(水・イオンバランス)をみること、の3点を目的とする。膵腺腺房細胞からのNEには以下のイオンチャネルが存在する:1)200pS Maxi-K channel,2)80pS K-channel,3)30pS cation-channel,4)7pS Cl-channel,5)300pS IP3R-channel(type 3),6)55pS cADPR or NAADP-dependent channel,等。また、Maxi-Kチャネの発現は動物の年齢(週齢)に依存している(8-9週以後に発現)。蛍光画像法により、IP3受容体の存在が示されている。NEの外側からの、IP3受容体電流を検知することは稀であり(3/90パッチ)、膵腺腺房細胞からのNEにおいては、IP3受容体の主たる存在部位はNEの内膜と思われる。いっぽう、低浸透圧液による標本の膨張現象が観察され、それは水銀イオンにより抑制され、このことは小胞体膜上の水チャネルの存在を示唆している。小胞体内腔カルシウムイオン濃度の増加は、核膜小胞体標本の膜容量を増加させる。また、膜容量のステップ状「ゆらぎ」が局所膜で観察される。小胞体のフラグメンテーションあるいは膜小胞形成との関連に興味が持たれる。
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