研究概要 |
セマフォリンファミリーは従来神経ガイダンス因子として同定されてきた分子群であるが近年、器官形成、血管新生、脈管形成、癌の進行、免疫応答などへの関与も報告され、生体の組織構築及び細胞の運命を決定する代表的な細胞外因子の一つと考えられている。本研究では免疫及び骨組織を中心に生体の発生及びホメオスターシス維持におけるセマフォリンの役割を細胞レベル及び組織・個体レベルで明らかにすることを目的としている。昨年度の本研究によりPlexin-A1欠損マウスの作成・解析からPlexin-Al欠損下での樹状細胞機能低下と破骨細胞分化・機能異常を明らかにするとともに、PlexirトA1が樹状細胞及び破骨細胞においてTrem-2・DAP12分子と会合することで有する多彩な活性を担っているとのモデルを示したが、今年度新たにtime lapse imaging, intravitalでのtwo photon microscopyなどのイメージングの技術を用いることにより、セマフォリンシグナル欠損樹状細胞のリンパ節移動における障害を見出し、セマフォリンが免疫細胞とリンパ管内皮細胞の相互作用においても重要であることを証明している。またSema6D以外のセマフォリンの細胞外因子としての機能を探索する過程で、細胞外環境に存在するSema7Aのセマフォリン欠損マウスの解析を行い、Sema7Aが細胞外因子であるインテグリンと相互作用し、炎症反応に寄与していることを今年度新たに明らかにしている(Nature446, 680-684, 2007)。
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