配分額 *注記 |
16,750千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 2,250千円)
2007年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2006年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
本研究目的は,PCクラスタで高速化されている医用画像処理問題を,GPU装備のPC1台でどの程度対抗できるかを解明することである.コームビームCTの再構成画像作成のGPGPUプログラムを,従来のOpenGLとCgを用いた実装とCUDAを用いた実装で開発した.512×512画素からなる投影像360枚に対して512×512×512ボクセルのボリュームを再構成するための実行時間は,前者で8.3秒,後者で5.7秒である.前者の実装はCPUでの計算時間より23.7倍高速(すなわち,少なくとも24台構成のPCクラスタと対等な性能)であり,コームビームCT装置が1台のPCで十分な実時間性能を持たせることに成功した.このアルゴリズムを用いたコームビームCT装置は2008年3月に(株)島津製作所から販売される.CPUでの計算時間がかかる応用問題は,よく「計算ネック」と言われ,CPUの演算速度がボトルネックとの印象を世の中に与えるが,そのような応用問題の中でも,実は「メモリネック」と称した方が適切であるものが少なくない.昨年度の成果である,GPGPUの性能モデルで検討した結果,メモリネックな応用問題はGPGPUで高速化できる可能性が高いことが確信できた.コームビームCTの再構成画像作成問題の他には,バイオ分野で有用な配列アライメント問題,およびグラフ理論の全点対間最短経路問題をCUDAで実装した.前者は,クエリ長が1024の場合,約20秒(CPUでは約677秒)と十分に高速化できた.クエリ長1024は,アミノ酸を対象とする場合には十分なデータ量であり,製薬関係の研究に貢献できる.
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