研究概要 |
研究成果は,絵文字文法の抽出,絵文字チャットの有効性の検証,センサの効果の検証などからなっている.まず,絵文字で3種類の質問を行い,それに対して絵文字で答える実験を行った.外国人はSVO型の質問に対して,33%はSVO型,27%はSOV型,そして,40%がその他型(例えば同じ絵文字を2度書く等,文章になっていない)であった.SOV型で質問したとき,47%はSOV型,7%はSVO型,そして実に47%はその他型となった.外国人は絵文字の使用にそれほど親しくなく,彼らの文章作成を支援する機能が必要であることが明らかとなった.この結果を踏まえ,文章作成支援機能をもつ仮説実証実験用絵文字チャットシステム「絵文字チャットコミュニケータII」を開発した.本システムには文章作成支援を行う履歴機能等を設け,550種類の絵文字を使用できる.履歴機能は,システムを実行してからユーザに使用された全ての絵文字を新着順に表示する.ここから絵文字を直接選択でき,直前の相手の発話内容を使用するなど素早い返事が可能となる.小型PCに本システムを実装し,予備実験を3回行ったのち,日本人と外国人との間の絵文字のみでのコミュニケーションの実験を,日本と北京で合計8回行った.その結果,平均の理解度は83%となった.操作を容易にするため圧力センサを用いて絵文字を簡単に選択するインタフェースも考案した.簡単な会話が対象であり,100%の理解度ではないが,この理解度は十分満足に値すると考えられる.
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