研究課題
基盤研究(B)
本研究ではBMP-2が損傷中枢神経の再生阻害に働いていることを見いだした。BMP-2はin vitroで小脳顯粒細胞の神経突起の伸展を抑制し、この効果はRhoAおよびRho-kinaseに依存しておらず、LIM-kinase依存性であり、これまでに同定されているいずれの再生阻害タンパク質とも性質が異なることがわかった。さらにRGMを抑制するとBMP-2の効果は消失したことから、RGMがBMPの共受容体として働いていることが示唆された。ラットの脊髄損傷後にBMPは、損傷周囲部のオリゴデンドロサイトならびにアストロサイトに発現上昇を示した。さらにこれらの因子がin vivoで損傷中枢神経の再生阻害に働いているかどうかを検討するために、ラット脊髄損傷モデルを用い、BMP阻害剤であるNogginを局所投与した。その結果、Noggin投与群はコントロール群と比較してより良い運動機能の回復を示した。また脊髄組織を検討したところ、治療群では、運動機能を担う皮質脊髄路の再生が認められたが、コントロール群では認められなかった。以上の結果からBMPsが成体において、中枢神経損傷後の再生阻害因子として働いていることが示された。本研究によって、新たな再生阻害タンパク質の同定のみならず、LIM-kinaseという新たな再生阻害シグナルの発見に至ることができた。さらにBMP-2は中枢神経障害後遺症を緩和するための治療ターゲットになりうることがわかった。
すべて 2007 2006
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