配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 2,160千円)
2007年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2006年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
|
研究概要 |
1. タイムラプススライス培養系を用いた、神経細胞の移動方向に影響する細胞外分子の探索 子宮内エレクトロポレーション法によりGFP発現ベクターを導入された胎児脳スライスを作製し、タイムラプス顕微鏡下でGFP標識神経細胞の移動様式を観察する系を確立した。さらに、GFP発現ベクターを子宮内エレクトロポレーションによりE14胎児脳に導入し、E16でその脳組織のスライス培養+タイムラプス観察を行った。そこで、様々な分子の機能阻害剤(特にRhoファミリー情報伝達系に関与することが知られている分子、特にキナーゼ)を加え、GFPで標識された移動神経細胞の動態に影響を与えるものをスクリーニングした。現在までに、複数のキナーゼ阻害剤が神経細胞移動に異常をきたすことを見いだしている。得られた候補阻害剤のターゲット分子に対してRNAi-子宮内エレクトロポレーション法で導入し、検定しているところである。 2. Ptfla遺伝子の果たす役割の解析 我々は成体において、小脳皮質の全ての領域を欠失し、よろめく、頻繁に転倒するなどの小脳失調性症状を示す、新たな突然変異マウスcerebellessを得て、その原因遺伝子Ptflaの同定と解析から、Ptflaが小脳GABA作動性神経細胞の発生を司っていることを過去に明らかにしていた(Hoshino, et. al., Neuron2005)。そこで、我々の研究成果を、最近報告されたMath1遺伝子のlineage trace解析の結果(Neuron48, 17-24 & 31-43)と考え合わせることによって、小脳発生に関する新たな転写因子による神経上皮の領域化モデルを提唱した(Hoshino, The Cerebellum, 2006)。さらに、この脳の領域化モデルが、小脳以外の脳にも当てはまるかどうかを検証しようとした。発生途上の後脳神経管の神経細胞を生み出す部分としてはMath1発現領域が最背側であるが、Ptflaはそれよりやや腹側の領域で発現していることがわかった。Ptfla-creノックインマウスを用いたlineage trace解析から、下オリーブ核やそのほか様々な神経核がそのPtfla発現領域から生み出されてきていることを見いだした。また、それらはいずれもMath1発現領域から生み出される神経核とはオーバーラップしないため、後脳神経管においてもMath1とPtflaによって腹背軸に沿った神経上皮の領域化がなされていることが示唆された(J. Neurosci. 2007)。
|