研究課題
基盤研究(B)
私共は、透明膜を除去した受精卵のブラストシストヘレンチウィルスを導入するという胎盤だけに特異的に外から遺伝子を導入する方法を世界に先駆けて開発した。この方法で、ETS2, Mapk14, Mapk1遺伝子欠損による胎盤機能不全性の胎児致死性を、胎盤への遺伝子導入でレスキュー出来ることを示した。この方法は、胎盤不全疾患の遺伝子治療の実用化に道を拓いた点、および、脳内の特別の細胞のみに特異的に遺伝子導入することに応用可能である点において、この論文は画期的である(Nature Biotechnol.誌に発表)。また、神経シナプスにおいて、新しく発見された細胞接着分子、Arcadlinが、TAOベータやMAPキナーゼを介するN-カドヘリンのエンドサイトーシスを誘導することによって、樹上突起スパインの数を制御することを明らかにした(Neuron誌に発表)。水チャネルであるアクアポリン4は主として脳に発現し、小脳浮腫などの治療の標的分子となることが知られている。このアクアポリン4の2次元結晶構造解析を行い、スプライシングバリアントの違いにより、オーソゴナルアレイと呼ばれる膜構造の大きさに違いがあることを見出し、かつ細胞接着分子のように細胞外領域同士で結合することを世界で初めて見出し(J. Mol. Chem.誌に発表)。神経成長因子放出に関与する蛋白質であるCAPS2を欠失したマウスにおいて、小脳の発達と機能が障害され,しかも形態形成障害が、小脳の小葉のVIからVIIに局在化していることを発見した(J. Neurosci.誌に発表)。
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