研究課題/領域番号 |
18300310
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
木下 亘 奈良県立橿原考古学研究所, 総務企画部, 研究員 (40250378)
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研究分担者 |
卜部 行弘 奈良県立橿原考古学研究所, 付属博物館, 総括学芸員 (70260370)
清水 昭博 奈良県立橿原考古学研究所, 埋蔵文化財部, 主任研究員 (20250384)
鈴木 裕明 奈良県立橿原考古学研究所, 埋蔵文化財部, 主任研究員 (90260372)
井上 主税 奈良県立橿原考古学研究所, 埋蔵文化財部, 嘱託
宮下 佐江子 古代オリエント博物館, 学芸課長 (80132760)
郭 東錫 国立中央博物館, 美術部長
閔 丙勲 国立中央博物館, 亜細亜部長
閔 丙贊 国立中央博物館, 美術部, 学芸研究官
陳 政煥 国立慶州博物館, 学芸研究士
権 江美 国立中央博物館, 美術部, 学芸研究士
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連携研究者 |
篠原 啓方 関西大学, 文化交渉学研究拠点
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
15,830千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 2,430千円)
2008年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2007年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2006年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | 新羅王陵 / 十二支像 / 西域 / 武人像 / 文官像 / 亀趺 / 華表 / 石塔 / 浮屠 / 連珠文 / 石像物 / 統一新羅 / 三次元計測技術 / 慶州市 / レーザー3次元計測技術 / 石像彫刻 |
研究概要 |
韓国・慶州市とその近郊に所在する新羅王陵には、多種多様な石像彫刻が配置されおり、その様式は中国陵墓の強い影響を受け、それに独自の要素を加味し成立したものと考えられている。本研究では、先ず新羅王陵の幾つかに見られる石像彫刻並びに墳丘外護列石の十二支像レリーフを対象としレーザーにより三次元計測を行った。墳丘に至る神道を挟んで、華表、武人、文官、獅子、亀趺等が配置されている。調査は新羅王陵の内、石像彫刻が存在する古墳を対象とした。調査を実施した古墳は眞徳王陵・武烈王陵・聖徳王陵・景徳王陵・元聖王陵・憲徳王陵・興徳王陵の各古墳である。さらにこれら新羅王陵と関連する資料として、ほぼ同時期に築造された古墳、或いは当該時期に製作された石塔、燈籠、浮屠等に見られる十二支像レリーフを三次元計測し、比較材料として資料の蓄積を計った。調査対象としたのは九政洞方形墳、遠願寺址東西層層石塔(慶州市外東友邑毛火里山8-2)、太和寺址浮屠(蔚山廣域市中區鶴城洞67)、陵旨塔(慶尚北道慶州市排盤洞621-1)、開心寺址五層石塔(慶尚北道慶州市泉邑南本里200)、縣一洞三層石塔(慶尚北道英陽郡英陽邑縣一里398-5)、慶州校洞石燈(慶尚北道慶州市校洞)、臨河洞十二支三層石塔(慶尚北道安東市臨河面臨河里794)、琴韶洞三層石塔(慶尚北道安東市臨河面琴韶里560)、化川洞三層石塔(慶尚北道英陽郡英陽邑化川里835)、華嚴寺西五層石塔(全羅南道求禮郡華嚴寺)の石塔及び浮屠である。これらの三次元画像のデータ資料は、日本へ持ち帰った後、画像処理をおこない、データの蓄積を計った。更にそれらの画像資料を基とし、実際のレリーフに中には、風化や汚れのためその細部が判別しにくくなっている事例が含まれるため、それらの画像資料を基に再度現地にて確認・校正作業を行った。それと共に、各地域の博物館や大学収蔵されている類似資料にも目を向け、これらの実測調査も同時に行った。九政洞方形墳隅柱石、石函、滑石製十二支像等の資料についても計測を行いデータの集積を計った。また、石像彫刻の内、特に武人像や文官像には、顔立ちや衣装或いは持物に、顕著な西域的要素が認められる事、更に、石像物の中には連珠文などペルシア或いはソグド美術と深い関係が考えられる事などを考慮し、中国西域地域の類例調査を実施した。現地調査を実施した地域は、新彊・烏魯木齋、喀什、和田、民豊、庫車、吐魯番の各地域の博物館並びに石窟寺院である。特に陶〓に見られる人物、衣装等の表現に注目し、新羅石像武人像に見られる表現との比較を行った。これにより顔立ちなどの表現は勿論、衣装に見られるポシェットなどの持物についても関連する部分が多い事が判明した。更に石窟寺院に見られる壁画の中から、連珠文関係の資料を収集した。国立慶州博物館が所蔵する連珠文石像物は、文様としては樹木、獅子、孔雀などモチーフが使われており、類似する部分が多く認められる。しかし文様構成に目を向けると中心に見られる樹木を挟み左右対称な事例が多いのに反し、左右秘対称性など韓半島で変容、構成されたと見られる部分が存在している点が指摘出来た。これらのモチーフが韓半島、特に新羅の地域でどのように受容され、そして変容していったのかを具体的に知る材料が得られたと考える。
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