研究課題/領域番号 |
18310037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮川 清 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40200133)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
17,980千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 2,280千円)
2007年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2006年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
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キーワード | DNA損傷 / 損傷応答 / 染色体 / DNA複製 / 放射線 |
研究概要 |
外的なDNA損傷を与えずに自発的におきるDNA損傷に応答する細胞現象の理解は、ヒトにおける病態を理解するために重要である。そのために、DNA二重鎖切断に対する修復に関与する相同組換え修復機能が低下した場合の細胞への影響を、染色体不安定性の誘導の観点から解析してきた。Rad51BとXRCC3はRad51とともに相同組換え修復において重要な役割を果たすために、ヒト大腸がん細胞株をモデルとして研究を進めてきた。Rad51Bについては中心体の安定化によって染色体の数的異常の発生を防止する機能を有することが明らかとなった。XRCC3については染色体倍加を抑制することを既に報告したが、その分子機構としてはDNA複製のライセンシングに関与するCdt1が安定化していることとCdc6の核内への集積の増強の組み合わせがこれまでの研究によって想定されていた。そこで、この分子機構の普遍性を他のヒト細胞において拡大して検討した。その結果、Cdt1が安定しているがん細胞では同様の結果が得られたが、Cdt1が速やかに分解される正常細胞ではXRCC3機能低下による染色体倍加がはっきりとは観察されなかった。この結果は、正常細胞よりもCdt1の分解が抑制されているがん細胞において、XRCC3の機能低下により微量DNA損傷が修復できない場合に、染色体数の異常が発現しやすいことを示唆する。次にこの現象を媒介する機構を理解するために、XRCC3と複合体を形成するRPAの機能をRNA干渉によって低下させることによって検討した。その結果、RPAの機能低下にもかかわらずDNA複製期における細胞周期の進行は阻害されなかったが、XRCC3機能低下による染色体倍加は抑制された。この結果より、XRCC3はRPAを介して自然環境における微量DNA損傷に応答して染色体の数的安定化を維持していることが想定された。
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