研究課題/領域番号 |
18330179
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 均 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50211983)
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研究分担者 |
大塚 豊 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00116550)
窪田 眞二 筑波大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (80170033)
藤井 穂高 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50238531)
永田 佳之 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (20280513)
坂野 慎二 玉川大学, 通信教育部, 准教授 (30235163)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
14,850千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 1,950千円)
2007年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2006年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 義務教育 / 弾力化 / 機能変容 / 学校選択 / オルタナティブ教育 / カリキュラム / 中高一貫 / 学校財政 / 学級編成 / 中高一貫校 |
研究概要 |
本科研は各国の義務教育の改革動向について、(1)義務教育制度そのものの弾力化、(2)義務教育レベルの公教育の規制緩和の状況、そして(3)義務教育制度の弾力的運用の動向について分析・検討してきた。(1)義務教育制度そのものの動向については、各国において義務教育法制は整備され、義務教育年限延長される傾向にあった。教育義務と就学義務については就学義務を教育義務制に切り替えようという国は無かった。むしろ教育義務制の国の一部には監督を強化しようとしている国もあった。 義務教育の社会的機能については、「国民が共通に獲得すベき知識と技能を保障する」という側面は多くの国で認識されており、運用面においてもこの機能はさらに強化される傾向が見られた。しかしこの機能は、国内の各種マイノリティへの義務教育の普及拡大というもうひとつの動向に直面して、大きな葛藤と衝突を引き起こしていた。義務教育の最も古典的な機能である「子どもを家庭労働などから隔離して保護する」という機能が、今日明示的に主張されている国は無かった。しかしこれは児童労働などの事実が義務教育の「弾力的運用」という言葉によって隠され、潜在化されていることを意味している。また義務教育の「無償性」などの原則についても一部の国で弾力的運用が見られた。 調査各国を通じて、それらの国の義務教育制度自体が弾力化しているという明らかな証拠は見いだされなかった。むしろ、義務教育の基本的原理が国家と時間を超えて強固であるという点が確認された。義務教育には、その成立当時より、共通教育内容や質保証といった義務教育の果たすべき中核的機能があり、各国においてその周縁的機能や制度が多様化し、弾力化するなかで、中核的機能の役割の重要性はいささかも減衰しているとはいえない。そして義務教育の制度的弾力化や弾力的運用は、それがある程度担保された状態ではじめて模索されるのであって、場合によって画一化と弾力化といった矛盾するような動向が同時期に起こる場合も観察された。
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