研究概要 |
2次元実像型のビームプロファイルモニターを製作し,ビームプロファイルの計測に成功した.テストに用いたビームは,放射線医学総合研究所のHIMAC入射用のエネルギー6MeV/uの幅5〜800μs程度のパルスイオンビームC6+,O8+,Ne10+であり,粒子数は1011/pulseのオーダーである.ターゲットは,厚み2,もしくは5mm,幅60mmの窒素分子ガスジェットを用い,その密度はle-3[Pa]相当であった.これらの試験条件は,GeVクラスのエネルギーをもつ大強度陽子加速器のビームが作用する場合の数10分の1に相当する.検出装置には,耐放射線性を強化したイメージインテンシファイア(II)と,高いS/Nを有するHARP電子撮像管を撮像部に用いた.これらの条件のもと,数10パルスの平均計測にて2次元の実像ビームプロファイルを計測することができた.本実験から粒子数換算とエネルギーロス量だけをスケールした場合でも,J-PARCのような3-50 GeV, 4el3 proton/bunchという大強度ビームでは,数bunch程度の短い時間内に2次元のビームプロファイルを計測できると予見できる.装置の開発においては,IIの放射線による劣化する部材をγ線照射試験において確認し,耐放射線性の部材に置き換えた.また大強度ビームの場合に想定される大気中の窒素ガスの発光の影響を避けるため,IIまでの光学系を真空容器内に収めた.また,IIからHARPカメラまでの区間では,ガラスファイバーによる光転送法をもちいた.IIは,遠隔操作する必要性から,遠隔での高圧パルス転送方式を用いた.
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