研究課題/領域番号 |
18350005
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
榊 茂好 京都大学, 工学研究科, 教授 (20094013)
|
研究分担者 |
佐藤 啓文 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70290905)
中尾 嘉秀 京都大学, 工学研究科, 助教 (40362462)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 1,080千円)
2007年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2006年度: 10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
|
キーワード | 電子状熊理論 / 遷移金属錯体 / スピン転移 / 励起状態 / 分子構造 / 触媒反応機構 / 触媒作用 / ポテンシャル面 / 電子状態理論 / スピンクロスオーバー / 反応機構 / 結合性 / 構造 / 電子相関効果 / 反応制御 / 機能制御 |
研究概要 |
遷移金属錯体の柔軟な電子状態が発揮されている反応として、Ni(0)錯体へのH-HおよびMe-CN結合の酸化的付加反応の理論的研究を行った。CASPT2,CCSD(T),Broken-symmetry MP2 to MP4(SDTQ),DFT法でエネルギー変化を求めたところ、CASPT2法およびCCSD(T)法で信頼できるエネルギー変化が得られた。DFT法は活性障壁については良い結果を与えるが反応熱は過小評価された。 現実系についてCASPT2,CCSD(T)計算を行うためのシフト演算子を開発し、Ni(0)キレートボスフィンへのMe-CNの酸化的付加のエネルギー変化を求めた。DFT法による結果は実験結果と合わないが、シフト演算子により置換基の電子的効果を考慮したCCSD(T)計算を行ったところ、実験結果に合致する結果が得られた。 二核金属錯体の結合性と電子状態を、MR-MP2計算により検討した。Re間直接結合を持つ[Re_2Cl_8]^<2-> では多配置性の考慮が電子状態の解明に不可欠であることが示された。面共有型Re二核錯体ではdσ-dσ相互作用とdδ一dδ相互作用によりRe間結合が形成されていること、Re-Re間結合次数はd3-d4系では3.65、d3-d3系では1.8に減少すること、この意外な事実は交換相互作用と軌道エネルギーの兼ね合いによること、が示された。 遷移金属錯体の柔軟な構造、電子状態の一つの現われはスピン転移錯体である。鉄(III)スピン転移錯体による光誘起スピントラッピング現象(LIESST)について理論的研究を行い、鉄(III)錯体の基底2重項、基底4重項、基底6重項のポテンシャル面(PES)を求めたところ、従来の報告と異なり、中間スピンの4重項の平衡核配置付近で2重項、6重項のPESが交差していることが明らかとなった。PESの制御は置換基の導入では困難であり、新しい骨格の配位子の開発が必要であることが示唆された。 反応過程としては、イリジウム錯体を触媒としたジシランによるベンゼンの直接的シリル化反応の反応機構を解明した。活性種はイリジウム(III)トリシリル錯体であり、触媒サイクルはイリジウム(V)種を経るという興味深いものであることが示された。活性種の再生過程がジシランの置換基に大きく依存し、フッ素のケイ素上への導入が不可欠であることが示された。
|