配分額 *注記 |
16,390千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 1,590千円)
2007年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2006年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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研究概要 |
1. 独自に開発した方法により,ヒドリド(ヒドロシリレン)ルテニウム錯体の合成に初めて成功した。この錯体は,アルデヒド,ニトリル及びアルキンと容易に反応し,いずれも一次生成物として,[2+2]環化付加反応の後Si-H結合が部分的に還元的脱離したと考えられるagostic錯体を選択的に与えた。また,エノン,イソシアナート,イソチオシアナート等ともスムーズに反応し,[4+2]環化付加,ヒドリド移動,C=S結合開裂等を経由して興味深い構造を持つ錯体を与えた。 2. シリル(シリレン)ルテニウム錯体の合成に成功し,その構造および動的挙動を明らかにした。この錯体は鉄類縁体よりも反応活性であり,強いルイス塩基であるDMAPを加えると,ケイ素上の置換基のスクランブリングを伴って塩基で安定化されたシリル(シリレン)錯体を生成した。また光照射すると,前例のないη^4-シラ-ο-キノジメタン錯体に変換された。さらに,アルコールとの反応では,驚くべきことにシリル基上のメチル基が全てアルコキシ基に置換された生成物を与えた。 3. アリール配位子とシリレン配位子を持つタングステン錯体は,穏やかな加熱によりタングステン上のアリール配位子がシリレンケイ素上へ1,2-転位することを明らかにした。生じた配位不飽和シリル錯体はニトリルと反応し,タングステン-ケイ素結合にニトリルが挿入し,k^2-イミノアシル錯体を生成した。これにさらにニトリルを反応させると,もう1分子のニトリルの挿入が起こり,五員環メタラサイクルが得られた。 4. ビス(ホスフィン)白金錯体とかさ高い置換基を持つトリブロモシランとの還元剤存在下での反応により,初めてのブロモシリレン白金錯体の合成に成功した。この錯体のX線結晶構造解析の結果,白金-ケイ素結合はその二重結合性を反映して非常に短く,またケイ素は平面構造をとっていることが分かった。
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