研究課題
基盤研究(B)
1.かご型ホスフィンSMAPに関する研究かご型ホスフィンSMAPの親化合物であるPh-SMAPの合成法の改良を検討し、単工程、高収率で合成する方法を開発した。また、その遷移金属錯体の合成、X線結晶構造解析も行った。さらに、Ph-SMAPのRh錯体がケトンのヒドロシリル化や水素化の配位子として非常に優れていることを確認した。シリカゲル表面上にシジロキサン結合を介してSMAP骨格を直接結合させることにより得られるシリカ担持ホスフィン[Silica]-SMAPは、構造的剛直のため一つの金属中心に対して2つ以上のリン中心で配位することができないことが最大の特徴である。しかもリン原子の周りの立体障害は究極的に小さく、独特の配位空間を形成すると考えられる。[Silica]-SMAPと[RhCl(C_2H_2)_2]_2から調製される表面固定化Rh錯体が嵩高いケトンのヒドロシリル化に非常に高い活性を示すことは、すでに明らかになっていたが、シリカ単体の構造を変えることにより、その活性を著しく向上させることに成功するとともに、嵩高いケトンの水素化にも成功した。さらに[Silica]-SMAP-Ir錯体による官能基化芳香族化合物のオルト位ボリル化反応も開発した。2.かさ高いエンドキャップを持つトリエチニルホスフィンに関する研究エンドキャップが異なる様々なトリエチニルホスフィンを合成し、その錯形成特性を検討した。その結果、かさ高いエンドキャップを持ち、半中空構造となった配位子が、様々な金属種に対して1:1錯体を形成することが確認できた。また、これらの半中空形配位子がRh触媒によるケトンのヒドロシリル化に対して優れた加速効果を示すことを明らかにした。さらに、半中空形トリエチニルホスフィンを配位子とするカチオン性金(I)錯体のアルキン環化反応に対する触媒活性を検討し、ケトエステルの分子内付加反応(Conia-ene reaction)やエンイン環化異性か反応に対し、優れた触媒活性を示すことを明らかにした。すなわち、従来触媒では困難であった6-exo-digおよび7-exo-dig環化を可能にするとともに、立体障害のため進行しにくい内部アルキンの反応にも効果的であることを示した。
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