研究概要 |
本研究は,これまでに知られているどの熱輸送デバイスに比べても格段に優れた性能を発揮できる可能性を有する並列細管型熱輸送デバイスについて,基本性能の全体像を明らかにし,その熱輸送機構を解明することを目的とする. 伝熱実験では,加熱・冷却部ヘッダ間を一列の細管6本で接続した銅製2次元テストセクション(作動流体R-134a)を温水で加熱した場合に加え,水を作動流体として2本の異径管(内直径6.5mmと3.5mm)または5本の同径管(内直径2.8mm)でヘッダ間を接続した場合の伝熱実験を電気ヒーター加熱にて行い,傾斜,加熱量,管長が熱輸送に与える影響について調べた. 可視化実験では,内圧の高くなるR-134aを作動流体として用いるために,真鍮板に一辺2mmの正方形析面の溝(長さ100mm)を3本または6本加工し,透明塩ビ板またはポリカーボネート板で蓋をした耐圧性の高いテストセクションを製作し,可視化実験を行った.細管6本の場合には6本中の2本だけ一辺4mmとした異径管の場合も調べた.細管3本の場合には,ヘッダ間温度差の大小に応じて循環流と振動流が観察された.また,細管6本の場合には,異径管を組み合わせることで水平設置時の熱輸送量を増やせることが分かった.本研究で開発した画像処理システムを用いて可視化画像を解析することで,この上昇流・下降流の速度とその時間的な変化,さらに各細管での流動状況の組み合わせが捉えられるようになった.
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