研究課題
基盤研究(B)
伝導制御にあたって最も重要な育成環境中に含まれる不純物及びその起源について調査を行った。育成される結晶中に含まれる不純物中で伝導性に影響を与える可能性のある最も主要な不純物は酸素であり、10^<18〜19>cm^<-3>オーダーであることが分かった。また、この起源は坩堝の溶解であることを特定した。アルミナ坩堝に代わる坩堝材料を調査した結果、イットリア坩堝またはイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)が極めて有望であることを突き止めた。イットリア坩堝を用いて育成した結晶、結晶中への酸素取り込み量は8×10^<16>cm^<-3>まで低減させることが可能となった。さらに、YAG坩堝の耐性を調査した結果、850℃でGaNを育成した前後での坩堝の重量変化は、電子天秤での測定限界以下であることが分かった。一方、ドーピングに関しては、p型ドーパントとしてマグネシウムが10^<20>cm^<-3>のオーダーでドーピング可能であることが分かった。この値は現在デバイス作製時のドープ量と同等であり、Naフラックス法でのGaN基板作製においてもMgがp型ドーパントとして有効であることを突き止めた。また、現在のところ、p型を示すGaNは得られていないものの、Mgドーピング時に比抵抗で10^6Ω・cmまで高抵抗化しており、Mgはドーパントとして働いている可能性が高いことが分かった。また、Liドープによって10^<-2>Ω・cmまでの低抵抗化に成功した。これまでドーピング時の問題として、ドーパントが育成においてGaNの微小核の発生を誘起してしまうために、育成中に多量の多結晶が成長してしまうという問題があった。この核発生を抑制する物質として炭素が有望であることが分かった。また、炭素とドーパントの共存下で育成したGaN中に炭素はほとんど取り込まれておらず、ドーパント+炭素の育成が実用上有望であることが判明した。
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Jpn. J. Appl. Phys. 46
ページ: 7689-7692
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