研究概要 |
本研究の目的は,我々が独自に開発してきた結晶合成法であるナノ微粒子支援レーザ堆積(以下NAPLD:Nano-particle Assisted Pulsed Laser Deposition)法を,ZnOナノ結晶の創製に展開して,ZnOナノ結晶を利用した高性能光電子素子開発の基礎を確立することである. 1)ナノワイヤ付ZnOナノロッド結晶の成長メカニズム解明と配向制御法の確立 表面を平坦化したサファイア基板を用いて,c軸が基板に垂直に配向したZnOナノワイヤ付ZnOロッド結晶の成長に成功した.また,a軸配向したサファイア基板を用いて,基板表面に平行にZnOナノワイヤを成長させることに成功した.さらに,レーザ照射エネルギーや繰返し周波数などを制御して,単位面積あたりのナノワイヤの成長密度の制御法を確立した. 2)電界放出特性の測定 垂直に配向したZnOナノワイヤ付ZnOロッド結晶からの電界放出を確認するとともに,これを用いて蛍光体からの可視発光素子の作製に成功した. 2)ナノワイヤハンドリング技術の確立 超音波リンスにより溶液中に取り出したZnOナノワイヤを誘電泳動現象によって電極へ集積する技術を確立した.これを利用して,特別に作製した観測用基板を用いてZnOナノワイヤをSEMによる正確な寸法測定と光学顕微鏡による光特性の測定を対応させながら観察することが可能になった. 3)単一ZnOナノワイヤの光特性とレーザ発振 2)項で開発した手法を用いて,マイクロキャビィティ効果による単一ナノワイヤのレーザ発振特性を調べ,ナノワイヤの形状や寸法と発振スペクトルの関係を詳細に調べた.その結果,単位ナノワイヤ当り13.6mWのパワーでレーザ発振することが明らかになった.
|