配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 1,710千円)
2007年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2006年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
近年,組織や社会のみならず人間が設計し操作対象とする人工システムにおいてさえも,それを取り巻く環境は大規模・複雑化し,その構造自体も複雑多様化している.そのような状況下で,効率的な生産を行うためには,最適解を追究する従来型のトップダウン的アプローチでは不十分である.そのような問題意識のもとで,研究代表らの上田を中心に,予てから生物指向型生産システムを提案し,その有効性について研究成果を挙げてきている.本研究課題では,最適化の原理からは排除すべき要素である人間の持つ限定合理性という性質に着目し,むしろ積極的に導入することで環境変動に適応可能な柔軟なシステムを実現することを目的に研究を進めた. まず,限定合理性の基本的な性質を調べるために,アントシステムシミュレーションを行い,意思決定の手がかりとなる情報にある程度の妥当性があるが不確実性を含む場合に,限定合理的なアリを導入することで群れ全体の採集効率が向上し得ることが示された.さらに,自己組織化生産システムシミュレーションに限定合理的エージェントを導入する実験を行った.実際の製造フロアのデータを用いて検証を行い,提案モデルの工学的な実用可能性が示された.この実験においても,限定合理性の導入によりシステムの性能が向上し得ることが確認された.加えて,社会システムにおける限定合理性の分析として,ネットワーク外部性が働く市場での生産者と消費者の意思決定をモデル化し,被験者実験と計算機実験を通じて,実際の人間の限定合理性について分析を進めた. 以上を総括し,生産システムにおける限定合理性の有効性について成果を取りまとめている.
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