配分額 *注記 |
16,730千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 1,230千円)
2007年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2006年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
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研究概要 |
本研究においては,ひび割れ幅が細かく引張力を分担できる繊維補強モルタル(HPFRCC)の性能を生かした構造利用を盛んにすることを目的としており,次のような成果が得られた。 1.材料性能と評価方法 HPFRCC用の簡便な引張試験方法を提案した。研究の範囲内では,供試体厚さの違いによるひび割れ発生強度や引張り強度への影響はほとんど認められなかった。供試体寸法が小さい方がひび割れ発生強度,引張強度,終局引張ひずみがともに大きくなった。供試体から切り出した棒状の試験片を用いてダンベル型供試体を作製し,一軸引張試験を行う方法を提案した。繊維が配向しやすい型枠面や仕上げ面が多いほど,終局引張ひずみが大きくなった。ひび割れ発生以降の引張クリープひずみは,ひび割れ本数およびひび割れ幅の増加の両方を伴って進行した。HPFRCCダンベル型供試を用いて,引張ひずみ(0.2〜1.0%)を導入した後に凍結融解試験を行い,再び引張試験を行った。ひび割れの有無に関わらず,凍結融解作用による大幅な引張性能の低下は認められなかった。 2.部材性能と構造利用 鉄筋補強したHPFRCC梁のひび割れ幅や本数に及ぼす鉄筋量ならびにかぶりの影響は小さいことを明らかにした。鋼床版に複合させたHPFRCCの輪荷重走行試験を水中行うと,ひび割れ部に高い間隙水圧が発生し,比較的早期に損傷が生じた。損傷を回避するには,発生する間隙水圧を小さくし,排水処理を十分に行うかまたはHPFRCCと鋼床版の間に水が入らない構造とすることが特に重要なことを指摘した。引張試験方法をはじめ,この研究で得られた成果を,土木学会の設計施工指針案に反映させた。
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