研究概要 |
ポンプ圧送による自己充填コンクリートの流動性変化のメカニズムを明らかにした。流動性変化に影響するのはコンクリート中のモルタル相であると見なし,ポンプ圧送によりモルタル中に生じる応力がセメント粒子の分散・凝集状態に着目してメカニズムを解明した。ボンプ圧送によりコンクリート内に生じる応力には圧縮とせん断の二種類あるが,流動性変化に影響するのは主としてせん断応力であることが分かった。 そして,水セメント比と練り混ぜ方法の違いが外力の作用による自己充填モルタルの流動性変化に与える影響を観察し,セメント粒子の凝集分散状態に着目して流動性変化のメカニズムを説明した。自己充填モルタルの配合上の水セメント比や練り混ぜ方法(投入エネルギー)の違いが,外力の作用によるモルタルの流動性変化に大きく影響を及ぼしていることがわかった。以下にまとめを記す。 1)水セメント比の増加に伴い流動1生変化量が大きくなった。一方,練り混ぜ時のエネルギーの増加に伴い,流動性変化量が小さくなることがわかった。 2)水セメント比が大きくなるに従い凝集したセメント粒子内部に拘束される吸蔵水が多くなり,せん断応力による凝集粒子の分散によって生み出される自由水量が多くなるため,ロート速度の変化量が大きくなると仮定すると現象を上手く説明できた。 3)練り混ぜ時の投入エネルギーが大きくなるほどセメント粒子が良く分散し,凝集したセメント粒子内部に拘束される吸蔵水量が少なくなり,これがせん断応力により凝集粒子が分散した際に生じる自由水量を少なくし,ロート速度の変化量が小さくなると仮定すると現象を上手く説明できた。 (4)フロー試験結果により示される変形性については,上記のせん断応力により生じる自由水量の増減に加えて,水セメント比や練り混ぜ方法の違いにより生じるセメントの比表面積の違いを考慮することにより説明できた。
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