配分額 *注記 |
15,280千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 1,380千円)
2007年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2006年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,斜張橋ケーブルの空力振動現象の発生メカニズムをカルマン渦の強度という観点から議論し,これらの空力振動を制振するための手法ならびに付加減衰について検討を加え,ケーブルの損傷劣化対策を考える際に必要な知見を得ることである.本研究では,ケーブルの空力振動現象の発生要因と考えられている,傾斜ケーブル後流域に生成される軸方向流れ,降雨によってケーブル表面に形成される上面側水路,高風速域で現れる臨界レイノルズ数による効果等を,全てカルマン渦が抑えられている効果と解釈し統一的に議論した.特に,傾斜ケーブルの後流域において,軸方向流の生成が弱い際に,カルマン渦強度が上昇し,またその逆も確認された.従って,軸方向流の生成が非定常であり,その結果カルマン渦強度も非定常に変化する場合,非定常ギャロッピングが発現することが明らかとなった.また,ケーブル表面のある特定位置に水路を付加することでカルマン渦放出を抑制し,その結果ケーブルが空力的に不安定になることが確認された.即ち,レインバイブレーションやドライステートギャロッピングは,上述の発生要因の組み合わせで発生し,全てカルマン渦の抑制による効果で説明が可能となった.ギャロッピングに対するスクルートン数(質量減衰パラメータ)の効果は,臨界レイノルズ数によるギャロッピングに対しては敏感であり,軸方向流による非定常ギャロッピングに対しては,あまり影響を受けないことが判明した.過去の実橋ケーブルで観測された大振幅振動は事例も少なく,構造減衰が明確でないため,どちらの振動とも断定できず,さらなる観測データが必要である.制振対策として,軸方向突起付きケーブル,ヘリカルワイヤ付きケーブル,リング付きケーブル等を検討したが,その応答特性は,カルマン渦放出強度と密接に関係していることが判明した.
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