配分額 *注記 |
17,300千円 (直接経費: 15,200千円、間接経費: 2,100千円)
2007年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2006年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
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研究概要 |
大腸菌Fプラスミドの複製開始タンパク質RepEには,単量体と二量体という二つの分子会合状態があり,その分子会合状態の違いで異なる機能を有する.RepEの単量体は複製起点に結合する複製開始因子であるが,野生型である二量体はrepE遺伝子のオペレーター領域へと結合し転写抑制因子として働く.本研究では,両会合状態における立体構造比較から二量体-単量体間の構造変換の詳細を議論することで,複製開始タンパク質としての機能発現機構を解明することを目的とした.そのために,立体構造が報告されていないRepE二量体のX線結晶構造解析に取り組んだ.発現,精製方法を検討し,二量体が結合する配列を有するDNAとの複合体を調製した後,X線結晶構造解析が可能な結晶を得て,放射光施設においてX線回折強度データを収集した.単量体型RepE変異体の立体構造情報を利用した分子置換法により位相決定し,RepE二量体-DNA複合体の分子モデルの構築,精密化を行った.二量体と単量体の立体構造比較から,RepEタンパク質分子内に存在する二つの機能ドメインの基本構造が保持されているのに対して,二つのドメインを連結するリンカーの立体構造とドメイン間相対配置が大きく異なることを明らかにした.さらに,Fプラスミド複製開始に必須のDnaK分子シャペロン群の作用部位がドメイン間リンカーとその近傍に予想されることから,分子シャペロンによるRepEドメイン間リンカーにおける局所的な構造変化が発端となって,RepE分子内のドメイン再配置と二量体解離が誘起され,その結果RepEタンパク質にDNA複製開始因子としての機能が発現するという機構を提案した.また,その機構の詳細をより明瞭に理解するために,DnaKあるいはDnaJとRepEとの相互作用を解析するための複合体試料の調整や変異体作製に取り組んだ.
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