研究課題
基盤研究(B)
本研究は、Arf蛋白質の機能や制御の観点から、細胞の運動性や浸潤性の獲得過程、運動や浸潤における極性決定や方向持続性を解析し、癌や免疫疾患などの疾患をより深く理解することを目的とする。乳癌の浸潤にはArf6の異常発現とその活性化が深く関与する事を見出していたが、乳癌の浸潤においてArf6を活性化するのがGEP100であることをその詳細な分子機構と共に解明した。病理学的解析も行い、GEP100は乳管癌の約7割に発現する事(n=102)も明らかにした。Eカドヘリン接着の喪失が癌が浸潤形質を獲得する上で最も重要な段階である。GEP100によって活性化されたArf6はEカドヘリン接着をも破壊した。一方、ARNOなど他のGEFによって活性化されたArf6はそのような作用は示さなかった。GEP100の活性化にはこのものがリガンドで活性化されたEGFRに結合する必要が有る。今回の研究は、乳癌の多くにおいて、癌細胞自身の変化で浸潤転移性を獲得するのではなく、EGFなど微小環境からの因子の供給が必要である事を詳細な分子機構と共に明らかにした。一連の研究成果を纏め論文発表した。また、Arf6がユビキチン化されることを見出し、それに関与するE3因子も同定した。このユビキチン化は直接蛋白質分解には至らない非典型的なものであったが、このE3因子の発現異常が乳癌の浸潤性獲得に寄与していることも明らかにし、論文発表した。好中球おいてケモカイン刺激時での運動の方向性関知や運動方向維持にGit2が必須の役割を果たしている事を、Git2の遺伝子破壊マウスの作成と共に明らかにしていた。Git2はArf1に対するGAPである。今回、GPCRの下流に位置し、Arf1を活性化するGEFの同定を試み、その候補を絞るところまで進んだ。得られた候補因子はゴルジ体にも局在するものであり、現在、その活性化機序に関して詳細な解析を進めている。Git2にはそのアイソフォームとしてGit1が存在する。Git1の遺伝子破壊マウスの作成に成功し、現在その解析を進めている。
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