研究課題/領域番号 |
18380048
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西澤 直子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70156066)
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研究分担者 |
中西 啓仁 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (80282698)
高橋 美智子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (90345182)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
16,850千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 1,950千円)
2007年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2006年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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キーワード | 植物成長・生理 / 転写因子 |
研究概要 |
植物は様々な遺伝子の発現を制御して、必須栄養素の鉄を土壌から吸収する。鉄吸収機構を効率的に働かせるために、植物は「シス配列」と「転写因子」と呼ばれる遺伝子スイッチを使って調節を行っている。既に、鉄欠乏を感知して発現が誘導される遺伝子のプロモーター領域に存在する鉄欠乏応答性シスエレメントを、世界で最初に同定することに成功しているが、さらにこのシス配列に結合して鉄吸収機構に関わる遺伝子群の転写を活性化する、転写因子の同定を目的とした。 鉄欠乏応答性シスエレメントIDEに特異的に結合する転写因子の探索を行った結果、イネの新規転写因子IDEF1(IDE-binding factor 1)の同定に成功した。IDEF1は植物固有の転写因子ファミリーABI3/VP1の未だ解析されていないサブグループに属し、IDE1内のCATGC配列に特異的に結合するという新規の配列認識特性を持つことが明らかになった。鉄欠乏誘導性プロモーターの制御下でIDEF1を発現させた形質転換イネは、石灰質アルカリ土壌において良好な初期生育を示した。この形質転換イネは鉄欠乏条件下で二価鉄トランスポーター遺伝子OsIRT1と、鉄欠乏誘導性転写因子遺伝子OsIRO2の発現を促進させた。これらの結果から、IDEF1は鉄欠乏応答に関与する多段階の遺伝子制御ネットワークの初期段階を担うことによって鉄欠乏応答性と耐性を制御することが明らかになった。IDEF1は、鉄欠乏に応答する遺伝子発現のマスタースイッチとして働くと考えられる。この成果は、未解明だった植物の鉄欠乏応答メカニズムを分子レベルで理解する上で、最初の決定的な発見であり、植物の鉄ホメオスタシスの分野に飛躍的な展開をもたらすブレークスルーである。
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