研究課題
基盤研究(B)
免疫システムの恒常性を維持するためには液性の調節因子であるサイトカインの存在が不可欠であり、そのサイトカインは主にJak/STATシグナル伝達系と呼ばれる特異なシグナル系を利用し、機能を発現する。なかでも免疫系細胞の増殖分化に関与するIL-6の作用は主にシグナル伝達分子であるSTAT3によるものであることが明らかにされている。STAT3の活性化は免疫系細胞の癌化にも非常に重要とされており、STAT3制御機構の解明は抗免疫疾患薬や抗癌剤の開発に非常に重要であることがわかる。本研究においては申請者らが同定している種々の新規STAT3結合蛋白を中心に、STAT3の活性化機構の解明と制御法の開発を目的として研究を行い、STAT3を制御するホスファターゼとしてLMW-DSP2(DUSP22)を同定し報告した。さらにSTAT3の機能を調節するアダプター分子STAP-2が自然免疫系や細胞接着の調節にも関与することを明らかにして報告した。STAT3がカボシ肉腫関連ヘルペスウイルス産物であるLANAと相互作用し、活性化されることも報告した。STAT3の核内貯留を制御するBARTを同定し報告した。また、核でのSTAT3制御蛋白としてDaxx、KAP1を同定し、機能的相互作用の存在等を報告した。現在、これら蛋白とSTAT3との詳細な相互作用の解析と、新規STAT3結合蛋白の解析を進めている。
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