研究課題
基盤研究(B)
本研究では、肝形成・肝機能不全変異体および肝疾患モデルメダカの解析に加え、シグナル伝達研究から障害肝の再生シグナルとしても期待されるSAPK/JNK系に異常のある条件付きノックアウトマウスの作出と解析を行い、胆汁の分泌,吸収栄養分の濾過と解毒,糖の貯蔵と血糖の調節などを行う必須の器官でありながら、未だ不明の点の多い肝機能・肝再生および肝疾患の分子機構の解明を目的とする。これまでにhirame, kendama, hiohgi変異メダカの表現型の解析と遺伝子の同定に成功している。hirameは肝臓の形成の元となる前腸の組織形成異常を示すこと、kendamaは左右性の異常に依存した脂肪肝を発症すること、hiohgiはレチノイン酸代謝の異常に由来する肝形成不全であることを明らかにしている。また、loxP配列がmkk7遺伝子のイントロン中に挿入されたMKK7条件付きノックアウトマウスを作出し、Mxl-Creトランスジェニックマウスとの交配実験から、肝切除や肝障害後の肝再生能を野生型と比較検討した。また、もう1種類のストレス応答性MAPキナーゼシグナル伝達系p38との関わりを検討した。その結果、欠損マウスでは、発生期の肝臓と同様に、肝臓の再生能が低下していた。興味深いことに、p38シグナル系の阻害によって、この再生不能低下は回避された。すなわち、2種類のシグナル系は拮抗して機能することが示唆された。すなわち、SAPK/JNK系は発生期のみならず成体期においても肝臓の増殖に必須のシグナル系として働くこと、これに対してp38系は拮抗するシグナル系として働くという興味深い知見を得た。本研究の特色は、生化学に根ざしたシグナル研究を基盤に置きつつ、遺伝学や逆遺伝学が応用可能な2種類のモデル生物を用いて、肝機能・肝再生および肝疾患を研究している点にある。
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