研究課題/領域番号 |
18390094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 九州大学 (2007) 秋田大学 (2006) |
研究代表者 |
鈴木 聡 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10311565)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
16,830千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 2,130千円)
2007年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2006年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | PTEN / PI3キナーゼ / 癌抑制遺伝子 / 脂質 / ホスファターゼ / 肺胞上皮細胞 / NKT細胞 / 尿路上皮細胞 / 血管内皮細胞 / 糖尿病 |
研究概要 |
サイトカインなどの様々な刺激によって、PI3Kが細胞膜の内側にリクルートされる。リクルートされたPI3KはPIP2をリン酸化してPIP3を産生する。PIP3は主にAkt/PKBをはじめとする下流のシグナル達系を活性化することにより細胞の増殖、生存、遊走、代謝などの多様な役割を果たす。 生化学的には、PTENはその主な基質をPIP3とする脂質ホスファターゼであり、PI3K経路を負に制御する癌抑制遺伝子である。我々はPTENの生体における機能を解析するためにPTEN全身欠損マウスを作製したが、このマウスは胎生早期に致死となったことから、次にPTENfloxマウスを作製した。本研究ではこのマウスを用いて主に肺胞上皮、NKT、尿路上皮などの細胞におけるPTENの機能を解析した。 1.胎生期に肺胞細気管支上皮細胞特異的にPTENを欠損させたマウスの90%は生直後に低酸素血症で死亡した。このマウスは肺胞細気管支上皮や筋線維芽細胞の過形成、肺胞上皮細胞の分化障害、サーファクタント蛋白産生障害を認め、これらによって呼吸不全がひきおこされたものと考えられた。さらにPTEN欠損マウスではほぼ全例肺腺がんを発症し、また肺幹細胞(BASC)の増加を認めた。 2.NKT細胞でPTENを欠損させると、成熟NKT細胞が減少し、成熟NKT細胞の単位細胞あたりの増殖能・IFNγ産生能などの機能が低下して、腫瘍免疫監視機構が障害されることを見出した。 3.尿路上皮でPTENを欠損させると膀胱上皮の過形成を認め、その後膀胱や腎盂に乳頭状移行上皮癌が発症すること、ヒト膀胱癌においても高頻度なPTENの発現減弱〜消失があることを見出した。 4.その他、皮膚でPTENを欠損させると電場による細胞遊走と創傷治癒が加速されること、インスリン産生細胞でPTENを欠損させるとインスリン感受性の亢進や成長障害、ラ氏島の増大を来すこと、好中球の遊走に重要なPIP3ホスファターゼとしてはPTENよりもSHIPが重要で、SHIP欠損によって好中求遊走が低下することなども見出し、報告した。
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