研究課題
基盤研究(B)
【研究目的】我々は糖尿病とその合併症が治癒しない原因として、骨髄内にTNFαなどの有害な遺伝子を発現する異常細胞が出現し、体内の様々な臓器細胞と細胞融合し、臓器の機能を障害することを見いだした。本研究ではこの細胞が出現するメカニズム、ならびに、この細胞に治療を加えることにより糖尿病とそれに伴う合併症を治癒させることが可能か否かを検討した。【研究成果】2型糖尿病モデルである高脂肪食マウス、ならびにdb/dbマウスでは、高血糖に伴い出現した骨髄由来の異常細胞は神経細胞や肝細胞と細胞融合し、糖尿病性神経障害や脂肪肝の発症に重要な役割を有していることが明らかになった。また、これらの動物に慢性骨髄性白血病の分子標的薬であり、発現異常を有するチロシンキナーゼに対し抑制効果をもつimatinibを投与したところ、合併症臓器での異常細胞の消失と機能異常からの回復を観察した。現在、このメカニズムについて検討中であるが、imatinibは細胞融合により異常細胞から持ち込まれたTNFαなどの異常な遺伝子産物の活性化機構を阻害することにより作用していることが強く示唆された。そこで、骨髄細胞と細胞融合した神経細胞におけるTNFαの発現を抑制することにより、糖尿病性神経障の治療ができるか否かを検討するために、M13ファージを用いて神経細胞を標的とする遺伝子治療ベクターの開発をめざした。バイオパンニングにより、神経細胞特異的に結合できるペプチド配列を取り出すことに成功し、TNFαに対するRNAi遺伝子を組み込んだ神経細胞特異的な治療ベクターを作成している。ベクターの完成までには今しばらくの努力が必要であるが、ベクターが完成しだい、糖尿病マウスにおいて神経障害の治療効果の検討を行う予定である。
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