研究課題
基盤研究(B)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、急性及び慢性症状の再燃を繰り返す典型的な全身性自己免疫疾患である。自己反応性の免疫細胞によって多臓器が侵されるが、その範囲や程度は極めて多彩であり、発症機構の解明には及んでいない。本研究では、IL6ファミリーのオンコスタチンM(OSM)欠損マウスが自己抗体の上昇とそれに伴う免疫複合体の沈着による腎炎を自然発症する典型的なSLEを示すことを見いだし、その発症機構の解明を目指した。まず多臓器における組織染色の結果、肺や脾臓において顕著な炎症像を認め、肺には活性化T細胞の浸潤が観察された。さらに、OSM欠損マウスの雄にのみに関節炎の症状も観察された。以上より、OSM欠損マウスが多臓器での炎症を伴うSLEのモデルマウスであると考えられる。自己免疫疾患におけるOSMの関与を探るため、主要な免疫器官である胸腺を解析した結果、胸腺の矮小化、胸腺構造の未発達を認めたもののT細胞の分化に異常は無かった。一方、胸腺内に多数の死細胞を観察し、この原因が胸腺マクロファージの異常によるものであることを示した。OSM欠損マウスは自己抗原が胸腺で大量に産生されて末梢に漏れ出ることにより自己免疫疾患を発症するという仮説を証明するために、抗原刺激に対する末梢の免疫応答について解析した。その結果、樹状細胞(DC)の活性化異常によるTh1応答の増強がOSM欠損マウスで認められた。Th1応答の増強と自己免疫性糸球体腎炎の相関関係が示唆されていることから、OSM欠損マウスにおけるSLEの発症機構の一端を解明することができた。また、DCの活性化異常の原因を追求することは新たなSLEの発症機構を理解する上で重要であり、OSM欠損DCを用いてマイクロアレイ解析によるDC活性化制御因子の探索も試みた。現在、DC活性化制御候補遺伝子の機能解析を継続中である。
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